のぞみのデュアルライフ(2拠点暮らしと養生方法)

不仲な親の介護と実家のゴミ屋敷化に悩む皆さんへ 

徘徊防止策

認知症の母は初期から中期にかけて徘徊が酷く本当に大変でした。その頃は足腰も丈夫で、自分の意思でどんどん歩いていってしまうのでいっときも目を離せませんでした。なぜか夕方たそがれてくるとソワソワしだすのでした。おそらく今いる場所の居心地がよくなかったのだと思います。他には玄関の鍵や金庫の鍵を何度も紛失し、それが特殊な鍵なので専門業者さんに来てもらって作りなおしたり(2万円ぐらいしました)日常生活の中でどんどん余計なお金がかかるようになっていきました。一度ならまだしも、何度も同じことを繰り返されたら父も怒りたくなるでしょう。

 

徘徊防止策として表玄関と裏玄関両方に補助錠を二個ずつつけて、裏玄関にはつっかえ棒をしました。頭の高さに民芸品の呼び子を下げて、触れば音が出るように工夫しました。母の靴は背の高いシューズボックスの上に置いて届かないようにしました。父は玄関から出入りするたびに施錠するようになりました。

 

これまでの経験でほんの数分トイレに行ったり、茶の間でうたた寝しているわずかな隙を狙うように出ていくので油断ならなかったのです。けれど認知症特集のテレビやケアマネージャーさんなどは、靴は隠さない、玄関も窓も開放しておくと言ってましたが、それは自分以外の誰かの「目」がある場合であって、認知症の本人と二人だけで向き合う生活では当てはまりません。一般的に「見守り」と呼ばれるものが必要です。同じ部屋でちょっとテレビを見入っていた、新聞や雑誌を集中して読んでいたりする隙にも立ち上がってどこかに行こうとするので気が気でない、気が休まらないのです。

 

「ここから出たい!」と思うとどんな手段でも鍵をこじ開けようとするし、靴がなければスリッパや裸足でも出ていくので、正直確実な対策は「見守り」以外ないような気がします。いつかなど部屋のスリッパのまま3~4㌔離れた場所を徘徊しているのを、地元の介護交流会の人が見つけて話しかけると名前は言えたそうです。その人は母の容姿や名前は知らなかったのですが、なんだか不審な感じがしたので消防署に通報してくれたのです。(弟さんが勤務しているそうです)私の母だと後で知りました。

 

父が眼科受診している間に待合室からいなくなり2㌔ほど離れた家に自力で帰宅していたこともありました。留守番させられないから一緒に連れていくと、そこでもいなくなるのですから打つ手がありません。最寄りの警察には顔写真や特徴など提示して、いつでも捜索してもらえるようにしました。真夏の炎天下で10時間見つからなかったこともありました。父も自分で探したらしく、帰省したとき車のバンパーがざらざらにこすれているのを発見しました。

 

このままじゃ家がめちゃくちゃになる・・・知り合いの社会福祉士さんにも相談し、母の担当ケアマネージャーとも話し合って週3日きっちりデイサービスに通うように手続きしました。終日見守りするなど日常生活さえできなくなり、介護者が倒れてしまいます。何もすることがないから昼間ぼんやりしていて、夕方からそわそわしだして徘徊されたら家族はたまりません。夜寝かせたあともトイレに行きたいと何度も言うので、そのたび付き添いしていたら充分な睡眠も取れません。寝不足は判断を間違えます。報道される介護殺人などは、介護者が充分な休養を取れず消耗していたのが原因だったのでは?と思うケースが多々見受けられます。

 

よって集団生活で他人と接するのが苦手な母だけれど、介護者の健康を鑑みて朝9時から夕方4時までのデイサービスでお昼寝なし、ゲームやリハビリ、観劇やネイル、エステなどたくさんのメニューで楽しんで疲れて帰宅するという方法を取りました。