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遠距離介護とゴミ屋敷問題

不仲な親の介護と実家のゴミ屋敷化に悩む皆さんへ

認知症患者の散髪問題Ⅱ

ショートカットになった母は朝の支度も楽になりました。父が手伝ってパジャマから普段着に着替えさせて、介助しながらダイニングキッチンに連れてきます。絞った熱いタオルを渡すと自分で顔を拭くまねごとまではできます。ついでに寝癖で鳥の巣になった頭全体を同じタオルで拭くとまっすぐになるのでとても楽です。仕上げに小さなブラシで軽く梳かせば終了です。短い髪には頭皮からの栄養も行き渡るのか、細くてもとても柔らかくてきれいです。妖怪みたいに長かった頃の毛先にはまるで栄養がいってなくてバサバサでした。漢方講座で髪は「血余」(けつよ)といって「血」(けつ)の余り、体内の栄養状態が反映するのだと習いました。なるほど・・・

 

短くなったのはいいのですが、二か月に一度ほどの床屋さん通いをどうするかという問題がありました。実家の裏徒歩2分もかからない場所に、祖父・父・私と通った理容室があります。他のお客さんと重ならない時間帯を前もって予約しておいて、一緒に歩いて送っていきます。終わったら電話を貰って迎えにいきます。しばらくはその方法でやっていました。

 

しかし迎えに行くのがわずかな距離であっても、何か作業をしている手をいったんとめなければなりません。こういった些細なことが介護者にとって自由に行動できないストレスになるわけです。その理容室のお弟子さん(女性)が、認知症の実母を母と同じ施設に入所させているとのことで、こちらの事情に理解がありました。散髪後の母を家まで送ってくれるようになりました。

 

しかし仕事を中断して2分の道のりでも送ってくれるのは負担をかけることになります。母は小股歩きしかできませんから実際2分どこではありません。ある小雪がちらつく冬の日、私が付き添って理容室へ行きました。白髪染めもするのでカット以外に、前かがみのシャンプー台で何度か洗い流しをします。母は前かがみになることをとても怖がって、途中で頭を上げてしまいます。白髪染めやシャンプーの工程も上手くいきません。首からかけたケープもズボンまでびしょびしょになりました。

 

大きな音が嫌いな母は(私も同じです。テレビの音は一番低くしてます。)ドライヤーの音も嫌がります。頭を乾かしながら濡れたズボンも乾かすのを私も手伝いましたが、急いでるときに限ってなかなか乾きません。真冬でストーブで暖房している店内ですから私も汗だくです。(あ~あ、この汗が冷えたら風邪ひくんだよな、嫌だな)と思いながらの介助です。介護者のコンディション問題までにはあまり触れられていませんが、つまりこういうことなのです。

 

なんとか髪を乾かしたものの母も私もぐったり疲れてしまい、すっかり暗くなり小雪のちらつく中、そろそろ路面凍結してきた道を傘をさしてヨタヨタの母を支えながら家に向かい「毎回これじゃ無理だな」と思いました。翌朝デイサービスのスタッフさんに思い切って相談しました。仰向けのシャンプー台がいいということと、他の利用者さんはどうしてるのかということです。すると曜日と回数が限られているけれど訪問理容サービスさんが来てくれてるとのことでした。あ、やっぱり!どんな大層な困りごとでもスタッフさん的には「え、そんなことで?」という内容だったりするのです。

 

すべてに対応してもらえるとは限りませんが、どこに相談すればよいかわからないことはまずはケアマネージャーやスタッフさんに一言いうだけであっさり解決する場合もあります。慣れたプロの人達にとっては個別の細かい困りごとや心配は申し出てもらわないとわからなかったりするのです。

 

思い切って相談したお蔭で、母はふだんと同じようにデイサービスの中で二カ月に一度訪問理容のお世話になることができています。家族は希望日をケアマネージャーに予約してもらうだけで送迎も付き添いもいりません。思い煩うことなくお任せできて本当に感謝しています。