棺に納まる父と最後の対面をするために、介護スタッフさんが3人がかりで母を家まで送ってきてくれました。
「パパにさよなら言おう」「有難うって言おうね」と誘導しましたが、顔の小窓に手を伸ばすものの理解している様子はありません。
回りが言うから仕方なく振る舞っているだけで、夫の死がわからないようです。
最後って案外そんなものかもしれませんね。寂しいですけれどね。
食事介助やオムツ替えをしても喜ぶでもなく特に感情を表すでもなく、父は張り合いのない介護をしていたことでしょう。
そして私が横にいるだけで明らかに母の態度が違うことも辛かったのかもしれません。
母はなにをしてくれなくても私のことが好き。
ヘルパーさん達も驚いていました。
「こんな表情のお母さん初めて見ました‼︎」って。
一生懸命尽くしたところで見返りがあるわけじゃない。善意の押し付けでしかない場合も多い。
いつも双方に感情の齟齬があってスムーズに介護できない。
やりたくないことを押し付けられていい気分なわけないですからね。特に認知症の人は。
嫌なことから解放されたくてこの病を選んだ母ですから、私としてはもう自由にさせてあげたかったのです。
それをリハビリだなんだと、また押し付けかよ‼︎と言葉にできずもどかしかったろうと思います。