認知症の初期は本人もどこかおかしいな?と自覚があるものなんですよ。
だから必死でなにかを探そうとしたり、大事なものを奥へ奥へ隠したり、黄昏時にソワソワして実家へ帰ろうとするんですね。本人も不安なんです。
でも家族関係があまりうまくいっていないとそもそも本音で喋る場がないので、なんとか取り繕ってごまかそうとします。
気づいた家族も認めたくなくてそのままにしていて、受診する頃にはかなり進行しているケースがあります。
本人も家族も事実を受け入れて協力しながら対応できると周辺症状と呼ばれる行動はおさまってきます。
もう一つは認知症の症状が進行すると本人の自覚もなくなり病識を失います。
すると自分がいま、おかしいのではないか?と疑う気持ちもなくなり周辺症状がなくなっていきます。
実は初期の周辺症状で家族がメンタルを病むんですね。
あんなにしっかりしていて厳しかった親がおかしくなってきた。それも歳のせいとかじゃなく明らかに病的だ。
これまでの家族のあり方や自分の考えを見なおすチャンスではありますが、慣れた環境からの変化は手間がかかって面倒です。
受け入れてしまえば案外なんでもないことでも、こと認知症に関しては近所に知られたくないなど、おかしなプライドが邪魔をします。
ここはひとつ頑なな心をほぐして、別の考え方や生き方もあるのだと知るだけでも気楽になれます。
なにより一番不安で困っているのは被介護者本人なのですから、周囲の人は寄り添い方の工夫をしてみてはどうでしょうか。