認知症の初期から中期に進むと徘徊が始まります。
初期はいわれてもわからないほど症状が軽く、他人に説明しても「全然わからないよ」と理解されません。
そう、その頃はまだ自分を取り繕うことができるのです。つまり病識があります。
介護認定の調査員さんや主治医の前でいいところを見せようとしたり、それで介護等級を正確に判定できないこともあるのです。
しかし進行していく病なので、確実にできない、わからないが増えていきます。
昼夜逆転現象も始まり、昼間ウトウトしていて夕方からソワソワしだし、用もないのに出掛けようとしたり、出先で帰り道がわからなくなり迷子になります。見当識障害です。
夜眠れない家族は家事や介護中ぼんやりミスを連発します。それこそ火の不始末から運転まで危険と隣り合わせです。判断能力が衰えて虐待やネグレクトに繋がります。
物忘れ外来で相談すると安定剤を処方されました。
母の足取りがおぼつかなくなり、小股歩きしかできないので遠出する気が失せていったようです。そして失禁の頻度が高くなりました。
徘徊しなくなるには認知症の進行が進むか、安定剤で意図的に歩きにくくするか切ない選択しかありませんでした。