のぞみのデュアルライフ(2拠点暮らしと養生方法)

不仲な親の介護と実家のゴミ屋敷化に悩む皆さんへ 

ゴミ屋敷で担架を出せませんでしたⅡ

CT撮影室のナースは私も怖くて外せない母の入れ歯を外し、ジップロックの袋に入れて渡してくれました。私が廊下で待っている間、父には病院食堂で昼食を済ませてきてもらいました。ちょうど知り合いがいて「今日はどうしたんですか?」と聞かれたそうですが、さすがに「家内が救急搬送されて・・・」とはいえないので「ちょっとお見舞いで・・・」と濁したそうです。健診とかお見舞いなら気軽にお喋りできますが、病院という場所はかなり深刻な人もいるので話題に気を付けなければいけません。

 

ナースに付き添われ撮影室から出てきた母は、混乱したり痛がる様子もなかったのでやはり私の予感は当たっていたようです。その後の診断でもはっきりとしたヒビや骨折はみられないけれど、おそらく腰椎2番にヒビが入った可能性があるので安静にするよりないとのことでした。母のキャスターつきベッドを押しながらナースが私に「お嫁さんですか?」と訊ね「いえ娘です」と答えると「まぁいいわねぇ」となごやかな会話もあったので心配するほどのおおごとではありませんでした。

 

その日はラッキーとしかいいようがなかったのですが、コルセットの装具メーカーの方がちょうど帰ったタイミングでしたが急患受け入れ室のナースがすぐ携帯に連絡してくれたおかげで、まだ近くにいた担当さんが引き返してくれました。すぐに母の胴から腰までの採寸をしてくれて「○日にはできますから、書類はこれで実費を窓口で支払って役所に提出後差額が戻りますから」とさくさくと動いてくれました。ツイてる!!

 

さて自宅に戻ることになりましたが、母の身体を動かせないので困っているとナースが介護タクシーの一覧表を教えてくれました。何軒か電話してみて、殆どが予約で動いていることを初めて知りました。そりゃそうですよね。通院などに利用するのですから前もって予約するのが普通でしょう。一軒○分後に来れますというところが見つかり予約しました。

 

ほどなくホームヘルパーの資格を持つドライバーさんがやってきました。忘れてしまいましたが、ミニバンより小さな車で完全に母を寝かせることはできなかったと思います。父には先に戻って鍵を開けておいてもらい、私と母だけ介護タクシーに乗りました。子供の頃から見慣れた田畑のあいだを抜けてすぐ家に着きました。

 

真ん中で折り曲がる担架に母を乗せて玄関から寝室まで私とドライバーさんで運びましたが、そもそもガラクタだらけで搬出できなかったのですから搬入も無理です。廊下の曲がり角などで担架を折って進み母が「痛い」というのを「ごめんね」となだめながらベッドに移動しました。「ったくこんなゴミ屋敷だからこうゆう事になるんだ!!」と父をどやすと「今いっても仕方ないだろう!」と返してきましたが、物置小屋のような家に住んでて気づかないのは、やはり誰も訪ねてくる人がなく己の暮らしを客観視できてないからに他なりません。介護タクシーは運賃850円に3000円の加算でした。

 

電話をくれたケアマネさんが夕方訪ねてきて、母の様子と最近取り付けたベッド脇手摺りの具合を確認してくれました。母は呼びかけに応答して夕飯はベッドを少し起こして介助して食べさせました。時折涙ぐんでいましたが、ちゃんと食べられたのでやはりおおごとではなかったのです。

 

確か翌日にはコルセットができあがり、装着して普通にデイサービスへ通いました。車いすを用意してもらい福祉車両にそのまま乗って出掛け、施設行事の遠足までつれていって戴きました。本人が楽しそうにしている写真をスタッフさんがその日の帰りに渡してくれました。

 

心配するようなことは何も起こらないのだ・・・と妙に確証した出来事でした。