ある日、介護施設にいる親族の面会に行きました。
入所している方のお子さん達がみな揃っていました。
それぞれいい中年で独立した家庭を築いています。
その中の1人の男性(入所者さんの長男)が私たちの前でパフォーマンスを始めました。
(その施設は共有ダイニングにケータリングを注文して食事会をすることもできて、一堂が楽しく食べ始めました)
するとくだんの男性がしのばせてきたフルーツ缶詰めと100均のフォークを取り出し、糖尿を患って片足切断している入所者さんに食べさせはじめました。
「あれ、確か食事制限してたよね?フルーツ缶詰めって砂糖で煮てあるんだよね?」という疑問は取り敢えず胸にしまい様子を見ていました。
「おばあちゃん、美味しい?よかったね〜。いっぱい食べようね〜」
勧められるまま、元々大好きな甘いフルーツを食べ続ける入所者さん。
その場に冷ややかな空気が流れました。
私はその男性のことをあまりよく知らなかったのですが、他の身内にはかなりな顰蹙を買っていて、もう誰も諌めたり諭したりすることはありませんでした。
やがて自らのパフォーマンスに満足した彼は、自分の妹に威圧的な態度で「おい、おばあちゃんトイレに行きたいんじゃないか?オマエはやく連れて行けよ‼︎」とわざわざ大声で命令します。
トイレ介助はプロのスタッフさんがタイミングを見ながらしてくれるので、家族がする必要はありません。
なにより排泄介助は段取りのわからない人にはできないスキルです。家庭でのやり方とは若干違います。
「スタッフさんがやってくれるから」と妹さんが答えてものの5分もしないうちまた「おい、トイレに連れて行けよ‼︎」と声を荒げます。
あのさ、気づいた自分が動こうよ。
人が命令に従うとでも思ってるんですか。
日頃からなにもせず介護関連の細かい手続きや支払いなどすべて妹さんに丸投げで美味しいところだけ持っていこうとしていました。
彼女に感謝してお礼の言葉をかけるだけで充分なのに、なんとか周囲に評価されたくて小道具まで仕込んでくる小賢しさ。
50過ぎの中高年の幼稚さに恥ずかしくなったのはいうまでもありません(笑)